ちょっと驚きの事実なんですが、弊社で採掘している蝋石が原料となっている洗顔剤があるんですよ。私自身、洗顔剤のメーカーさんからお声をかけていただくまで全く知りませんでした。それが「ルナレーナ化粧品」様の「ワーキーズ 備前産粘土洗顔パック」です。

 

ルナレーナ化粧品」公式サイトより


「備前産」とありますよね。原料は弊社の蝋石です。

蝋石を微粉化した「蝋石クレー」という製品があり、こちらも備前市の吉永という地区で生産していますが、正確には、この蝋石クレーを使って作った洗顔料なんです。蝋石クレーは真っ白な粘土で、主に塗料に添加する塗工剤やゴムの難燃剤として使われています。陶磁器の釉薬などにも利用されていますが、まさか洗顔パックに使えるとは知りませんでした。


2年ほど前に「ルナレーナ化粧品」様からご連絡をいただき、新たな蝋石の利用法を知ることができました。また今年10月から、岡山県の地元大手百貨店である天満屋のネットショップにて販売が始まったとのことで、ご案内させていただきました。

 

天満屋のネットショップより

 

弊社のような鉱山と美容業界というのは、かなり面白い取り合わせですよね。
でも実は意外とそうでもないんです。弊社で算出される陶石は「セリサイト」と呼ばれる鉱石ですが、このセリサイトはものによってはファンデーションの原料として大変貴重な存在です。日本で採掘できるのは愛知県の粟代鉱山(三信鉱工株式会社)だけで、業界的には大変有名な鉱山です。

 

残念ながら、同じセリサイトでも弊社のセリサイトはファンデーションには向いていません。これまで行くつかの業者さんが試してみましたが、諸々の理由でうまくいきませんでした。技術の問題ではなく、原料の性質そのものが合っていないようです。

 

そんなわけで美容業界への進出は無理だな、と思っていたところ、まさか洗顔料でご利用いただいているとは、大変ありがたいことです。蝋石クレーは物性にユニークな特徴があるため、塗工剤に利用されていますが、他にもこの物性を活用する方法があるかもしれません。ネバっとしたもので何か用途があれば、お気軽にお問い合わせください。

この度、産業遺産学会より、弊社・土橋鉱山の施設が「推薦産業遺産」に認定されました。産業遺産学会というのは、主に明治以降の近代化に貢献した産業に関わる有形・無形の様々なものを調査研究する学会で、学者や研究者はもちろん、私のような一般人も参加できる開かれた学会です。

 

私の場合、土橋鉱山を引き継ぐ前から鉱山に興味があり、日本中の廃鉱山や現役鉱山を見て回るのが趣味だったので、学会誌を見たり、学会に属する研究者の方の本を読んだりして参考にしておりました。そんな中、土橋鉱山自体を学会の推薦産業遺産にしてみては、とのお声掛けをいただき、この度、認定していただいた次第です。

 

「推薦産業遺産」というのは、国や自治体などの文化財にはなっていないものの、産業遺産として重要であり、多くの人々にその重要性を知ってもらいたい、といった案件について、産業遺産学会が独自に選定するものです。認定されたからといって、特に規定や拘束力はありませんが、放っておいたら消えていってしまうような産業遺産を少しでも知ってもらいたいという考えから行われています。

 

弊社の鉱山施設の中では、立坑や巻上機、鉱車などが推薦産業遺産に認定されました。備前市には蝋石鉱山がたくさんありましたが、ほとんどの鉱山が閉山しており、現役でこれらの鉱山施設を有するのは弊社のみとなっています。というか、巻上機に関していえば、現役鉱山で稼働する状態で保存しているのは、おそらく弊社だけではないでしょうか。実際、動く状態で残すのは大変です。

鉱山のシンボルである立坑櫓。ボロですが立派に現役です。

 

巻上機。地下坑道と地上の行き来をするためのいわばエレベーターです。

鉱車とロッカーショベル。いわゆるトロッコですね。こちらはさすがに現役ではありません。

 

コロナがだいぶ落ち着いてきましたし、コロナ前にやっていた弊社の見学ツアーも復活できるかもしれません。その際は、ぜひとも「推定産業遺産」に認定された鉱山施設をご紹介いたします。もう少しの辛抱ですねぇ。

有田焼といえば日本で最も有名な陶磁器のブランドです。
佐賀県の有田町が有田焼の産地ですが、海側の伊万里市、またお隣の長崎県波佐見町も含めて、日本屈指の磁器の生産地となっています。日本における磁器の発祥地で、瀬戸や九谷も有田・波佐見などの肥前から技術を学んで陶磁器の生産地となりました。

 

そんな有田焼に原料を供給しているのが、佐賀県嬉野市の塩田地区にある粘土屋さんです。塩田地区では、有田焼や波佐見焼の原料となる天草陶石を粘土に加工する工場がいくつかあります。渕野陶磁器原料さんもその中の1社で、今回はご縁があって、同社が発行するニュースレター「ジキよまんば!!」に土橋鉱山の紹介文を掲載していただきました。

 

実際は紙で配布されていますが、PDFをいただきましたので、こちらに掲載します。
ジキよまんば27号
なおバックナンバーは、渕野陶磁器原料さんのホームページに掲載されています。

弊社以外の陶石・長石の鉱山が紹介されている号もあります。

 

これを契機に、ぜひとも有田・波佐見でも土橋鉱山の認知度を上げていきたいところです。

有田や波佐見で使われる原料は熊本県の天草陶石が一般的です。弊社の土橋陶石は、現在のところテスト出荷があるのみで、土橋陶石を使った有田焼や波佐見焼が生産された実績はありません。まさに新規開拓の最中です。天草陶石と土橋陶石はよく似ているところがありますが、焼き上がりの色味が違ったり、成分にいくらかの違いがあり、まったく同じようには使えないようです。

 

私としては、何かうまい具合にご利用いただいて、ぜひとも土橋陶石で作った有田焼や波佐見焼が実現することを願っています。ありがたいことに、地元の窯業試験場などでいろいろとテストをしてもらっており、将来的には原料としてご利用いただくことがあるかもしれません。

 

個人的には、有田や波佐見の町や風景がとてもいいですし、あの辺りは海も山もあってご飯がおいしいので、何とかレギュラーのお客さんを見つけて、年に1回か2回、出張と称して肥前旅行を楽しみたいと思っている次第です。


NEU」のサイトより転載しています。

弊社鉱山のある備前市はご存じの通り、日本六古窯の一つに数えられる備前焼の産地です。そもそも、この地に備前焼があったこと、また製鉄に必要な耐火煉瓦の原料となる蝋石があったことで、明治以降今日に至るまで、耐火物の一大産地となりました。

 

ただし、三石の蝋石自体は備前焼にはなっていません。備前焼は備前市内の特定地域の田んぼや畑の下に付帯する赤土などを主な原料としており、窯から出した際の色合いも赤茶色が多く、蝋石のような真っ白さはありません。

 

この地で蝋石が採掘されるようになって100年以上経ちましたが、三石蝋石を備前焼に使ってみる、といった試みはあまり行われていませんでした。

 

ところが近年、若手の備前焼作家さんを中心に、三石蝋石を使った、これまでにない備前焼への挑戦が始まっています。 そうした取り組みの一つが、山本周作さん・領作さんの二人が立ち上げた「出製陶(いずるせいとう)」による新プロジェクト「NEU(ヌー)」です。最近公開された「NEU」のサイトから、いくつか写真を拝借しましょう。

いずれも「NEU」のサイトより転載しています。

 

どうですか? すごくかっこいいですよね。
備前焼の土と弊社・土橋鉱山から採掘された土橋蝋石を調合した、独自の坏土が特徴で、デザインもモダンです。普段使いの食器として、生活に溶け込む備前焼を志向した作品となっています。


今後出てくるラインナップです。「NEU」のサイトより転載しています。

 

備前焼というと、僕のイメージは赤茶けた灰皿や花器のイメージで、コーヒーを飲んだり、カレーを食べるにはちと使い勝手がよくないイメージでした。でも「NEU」の作品群を見ると、普段のちょっとした食事に使えそうで、とても楽しみです。

 

自分たちが毎日、地下の坑道で掘り出している蝋石がそのまま食器になるなんて、何だか不思議な感じです。これまでも、弊社の石はホテルディナーの食器やティーセット、ホームセンターの土鍋などにも使われているのはわかっているのですが、今回の「NEU」はより身近に感じますね。

 

なお、「NEU」に使われているのは、弊社で採掘しているパイロフィライトという名の蝋石です。パイロフィライトの原石を水簸加工した微粉砕品である「蝋石クレー」が今回の坏土として調合されています。ご興味のある方は弊社までお問い合わせください。

 

ちなみに、弊社の主力であるセリサイト系の蝋石、いわゆる「陶石」とはまた別の原料です。陶石は、その名の通り、陶器・陶磁器の原料としてご利用いただいてますが、こちらは工業製品としての陶器、陶磁器での利用がメインです。

 

セリサイトは焼成した際の焼き締まりがかなり強いため、手作りベースでの陶芸ではやや扱いが難しいかもしれません。これまで陶芸家さんとのやり取りでわかってきたことですが、単純に白い器を作るならば、パイロフィライト系の「蝋石」を使った方が無難なようです。

パイロフィライト系、セリサイト系のいずれについても、微粉の製品を弊社でも取り扱っているので、ご興味のある方はお気軽にお問い合わせください。

 

「NEU」はまだプロジェクトが立ち上がったところで、販売などは始まっていません。販売が始まったら、またこちらでご案内いたします。

いい色に仕上がってます。

 

昨年6月、新規事業になったらいいな、というビジネスと単なる個人的趣味から、弊社の地下坑道で梅酒を漬けたらどうなるか、実験を行いました。その様子は、2020年6月11日のブログに書きました。

 

あれから1年。例の梅酒を試飲してみます!

地下坑道に置いてから、しばらくはちょくちょく様子を見に行ってましたが、普段は人が入らない旧坑道で、トロッコ用の線路が残る足場の悪い場所だったので、半年間ほどすっかり放置していました。でも、梅酒の存在を片時忘れたことはありませんでした。梅酒おいしいですよね。

 

1年経った地下坑道の梅酒です。気温は1年を通してだいたい17度でほぼ一定。この特殊な環境が浸かり方にどう影響するのか。

 

汚い文字で申し訳ない。新潟の日本酒「苗場山」で漬けてます。

アルコール度数は21度。日本酒度は+10の甘いお酒です。

 

事務所に戻ってきました。空き瓶に梅酒を詰め替えます。

全部は入れず、半分は残して、また地下坑道で熟成させます。

 

空き瓶に入れ替えました。透明の小さな瓶が試飲用です。

なんだか、色が薄いような。でも黄金色でなかなかきれいです。

 

自宅で漬けた梅酒(右)と比較すると、やっぱり色が少し薄めです。

自宅で漬けたほうも、全く同じ南高梅に苗場山で漬けたもの。分量もほぼ一緒です。

この段階で、やはり地下坑道で漬けた梅酒と自宅で漬けた梅酒で大きな違いが出ました。ちょっと驚きです。

 

待望の試飲です!

今回はさらに比較用として、自宅にて焼酎で漬けたものを用意しました。写真だと一番右です。

左から順に、鉱山仕込み(日本酒)、自宅で漬けたもの(日本酒)、同じく自宅で漬けたもの(焼酎)です。

なお焼酎はキンミヤを使いました。なかなか凝ってるでしょ?

色の違いもはっきりしています。鉱山仕込みが一番薄く黄金色。右端の焼酎仕込みはかなり濃いめです。

 

肝心のお味ですが、鉱山仕込みはとても淡い味です。ほんのり梅の香りがする甘いお酒に仕上がっており、とても口当たりがよかったです。梅のしみ出し方が弱いのか、ちょっとわかりませんが、黄金色の色味のとおり、とてもライトで飲みやすい梅酒に仕上がっていました。

 

一方、同じ条件で作った自宅仕込み(日本酒)は、梅の味はよく出てますが、ややえぐみというか、野性味が出ていて、味が濃い感じがしました。少し水で割った方が飲みやすい気がします。焼酎で作った自宅仕込みもなかなか良かったです。キンミヤはアルコール度数が25度と、ホワイトリカーよりも低いので、飲みやすい感じがしました。こちらも水割りのほうがいいですね。

 

どれが一番かというと、手前味噌で恐縮ですが(というか全部自分で作ってますが)、やはり鉱山仕込みが一番ですね。水で割ることなく、そのままロックで飲むのが最適です。ほどよく酔えて気持ちよかったです。やっぱり初夏は梅酒ですね。

 

鉱山仕込みの残り半分は、再び地下坑道で熟成させます。

それにあまりに美味しかったので、もう1本、新たに仕込んで置いておきました。今度は岡山県産の梅と倉敷市玉島の酒造会社、菊池酒造の梅酒用日本酒で漬けてます。今度は一升瓶まるまる使って作りました。1年後が楽しみです。

 

ということで、鉱山の地下坑道で梅酒を漬けたら、自宅で漬けるのとは明らかに違う味になることがわかりました。

酒造メーカーの皆さん、ちょっと試してみませんか?

弊社は主に陶磁器向けの原料を掘っている関係で、以前から備前焼の作家さんとは交流があります。その中で、ひときわユニークな作品作りに取り組んでいるのが、若手陶芸家の石田和也さんです。

 

石田和也さんのホームページ

 

昨年は窯焚きの様子を見学させていただきました(2020年11月10日の記事)。その後も、弊社原料を使って作った硬質磁器(還元焼成)用の精製セリサイトや、弊社の地下坑道で石田さん自身が自分で採取した粘土を使った作品づくりなどに取り組んでおられます。

 

そんなチャレンジングな様子を海外の映像作家の方がドキュメンタリーの短編映画にしています。現在はまだ製作中なのですが、その編集途中の映像を見せていただきました。石田さんの活動や作品づくりがメインテーマの作品ですが、弊社の地下坑道で粘土の採取をしている石田さんの姿も映ってます。私もちょいちょい映ってました。映像のテンポやカット割りなどが、まさに海外ドキュメンタリーといった感じで、とてもかっこいい作品です。

予告篇がありましたので、こちらに掲載しておきます。

 

 

短編映画を見終わった後に、坑道で採取した粘土や精製セリサイトで試作した作品をいくつか見せていただきました。

 

 

 

とても不思議な仕上がりです。粘土の一部に白い石が残っているのが面白いですね。石田さんの地下坑道で採取した粘土のみで作っています。

 

こちらは精製セリサイトで作った作品です。まるで太古の貝の化石みたいです。こちらの作品は、弊社の応接室に飾る用として頂いてしまいました。とてもありがたいです。

 

いかがでしょうか。まさに新時代の備前焼だと思います。
弊社、土橋鉱山の蝋石、陶石、そして珪石は、いずれも鉄分が極めて少ないのが特徴ですが、蝋石、陶石、珪石いずれも耐火度に大きな違いがあり、焼いた際に溶けてガラス状になる場合もあれば、白磁のような真っ白な塊になるところもあり、独特の変容になるのが一つの特徴だと思います。

 

今後も石田さんの作品づくりをバックアップさせていただきたいと思います。
新時代の備前焼がどんどん出てくることに期待しています。

 

また、その他にも、備前焼の作家さん、また備前焼に限らず陶芸家の皆さんでご関心があれば、お気軽にご連絡いただけたらと思います。弊社陶石を水簸して作った精製セリサイトの販売も行なっています。個人作家さん向けに小売しておりますので、その辺りもお問い合わせいただけたらと思います。

巣作りが放置された状態です。

 

今年2月、ツバメの到来する季節の前に、今年こそしっかりと子育てをしてほしいと、壊れた巣の下に板を取り付け増強を行いました。4月に入り、首尾よくツバメのカップルが到来し、ポツポツと巣作りを始めたのですが、なかなか作業が進まず、気を揉みました。

 

そうこうしているうちに、早すぎる梅雨の到来で、ツバメのカップルは作りかけの巣を放置して来なくなってしまいました。現在放置されて1週間ほど経ちましたが、ツバメを見かけることはありません。残念ながら、今年も巣作りはうまくいかなかったようです。

 

巣を作り様子をチラチラ見てましたが、どうも作業の進捗が悪く、おまけに4月末からGWにかけて、カラスがやたらとこの辺りをうろついていて、それもよくなかったのかもしれません。

昨年に続き新型コロナの影響であまりいいことがなく、今は岡山県で緊急事態宣言も出ており、何かと気分が落ち込んでいたので、ツバメの巣作りを毎日見るのがとても楽しみだったのですが、仕方ないですね。

来年に期待したいです。

弊社の敷地の中で一番最初に咲く桜の木です。右の施設は坑排水処理施設で、地下坑道で湧いてくる低pH(3〜4)の坑排水を中和処理する施設です。殺伐とした仕事現場の中でも桜は健気に咲いてくれます。

 

4月に入り、山の桜も満開ですが、明日には雨が降るようで、桜の見頃も今日までのようです。
本日は土曜ですが、弊社は毎週第2、第4の土曜日が休みで、第1、第3、第5の土曜は営業日となっています。ちょっと古くさい営業スタイルですが、よそからの電話もかかってこないので、従業員も有給休暇をとる者が多く、今日は3名がお休みです。

もともと、私自身は東京でサラリーマンをしていたため、この会社が土曜出勤があることにとても抵抗がありました。東京だと、ほとんどの人が土曜お休みですからね。私の場合、出版社で働いていた時期もあるので、土日も割と仕事してましたが。昼から会社に出てきて、夜は池袋で一杯飲んで帰る感じでした。


いつかは完全週休二日制に移行したいですが、なかなか難しいのが現状です。弊社の場合、従業員のほとんどが有給休暇をほぼ100%使い切るため、十分な作業量を確保するのはなかなか大変です。それに安全で健康な操業のために「ノー残業」を掲げており、実際にこの4年ほど全く残業なしでやってます。もう少し効率よく仕事ができるようにしたいです。

 

それはさておき、今日は地下坑内の採掘現場である切羽の話です。

上の写真は、セリサイトの含有利率が高い高品位の石が出ている切羽です。
これが良質なセリサイトかどうか、はっきり言って素人目に区別がつきません。もっと言えば、蝋石採掘のプロでもわからないことが多いです。つまり見た目で良質かどうかはわかりづらいといえます。

 

少し寄ってみた写真です。黒っぽい色をしているは、良質なセリサイトの証です。他にも緑だったり黄色だったり真っ白だったりと、良質なセリサイトの色は様々です。でも色が違っても性質に違いはありません。ちなみに、右にある引っ掻き傷のような線はブレーカでなじった跡です。こんな風に白線ができるのも良質なセリサイトの特徴です。


このレベルのセリサイトには、K2O(カリウム)が4〜6%程度含まれています。良質なセリサイトは、ボーンチャイナと呼ばれる高級食器の原料としてご利用いただいています。ただし、こうした良質なセリサイトはあまり多く採掘できません。年間200トン程度とごくわずかです。こうして良いセリサイトが出た際にしっかり貯めておいて、少しずつ出荷しています。

 

次も良質な原鉱が出ている切羽です。


こちらは良質なパイロフィライトの切羽です。さっきと違いがわからないですか? そりゃそうでしょう。私たちのように日々切羽に向かっている者でも、ぱっと見でわからないことが多いです。


こちらが切羽の踏まえ(足元)に落ちていたパイロフィライトの写真です。Al2O3(アルミナ)が20〜28%近くあります。日本で産出するパイロフィライトで、このレベルのアルミナを含むものはあまり多くありません。かつては、弊社のある備前市三石やそのほかの蝋石採掘地域から、この手のパイロフィライトがたくさん出てましたが、今はもうないかもしれないですね。少なくとも三石地区では弊社しかありません。

この手の良質なパイロフィライトが、なぜかこの数年やたらと出てきます。質の高いパイロフィライトはガラスるつぼや釉薬の原料として出荷しますが、残念ながら出荷量はあまり多くありません。そのため、こうした良質なパイロフィライトが出てきた場合は、低質なものと混ぜ合わせて、蝋石クレーの原料として出荷しています。良質な状態で何らかのニーズがあればよかったのですが、残念ながら特にないのが現状です。

今回紹介した良質なセリサイト、パイロフィライトは、見た目ではわかりづらい蝋石の中でも比較的区別がつきやすいものでした。私たちが普段もっとも多く採掘している品位が中くらいのセリサイトの場合、それこそ見た目で良いものかどうかはまずわかりません。ですので、発破して鉱石が出るたびにX線回折装置と呼ばれる分析機器を使って、石の様子を細かく観察しています。

できれば良質なセリサイトがどんどん出てきてほしいですね。
一方、良質なパイロフィライトは大変脆いため、あまりしょっちゅう出てくると坑内作業の危険度が増してちょっと困りものです。なかなか思ったようにいかないものです。

昨年5月の様子。この後、巣が落ちてしまいました。

 

年明けから緊急事態宣言が発令されて、物々しい雰囲気が漂ってます。弊社のある岡山県は宣言の対象になっていませんが、お隣の兵庫県は対象となっていて、弊社の従業員も3分の1は赤穂市から通っていることから、みんなで用心しながら日々の業務を行なっています。

 

なかなか気が晴れない日々が続きますが、昨日今日は気温も上がり、まるで春のような陽気です。そろそろ春の準備をしなくてはと思い、昨年から課題となっていたツバメの巣を補強することにしました。

昨年は巣作りが進んで「今年こそヒナが生まれるか」と期待したのですが、数日のうちに巣が割れて落ちてしまいました。幸い卵はありませんでしたが、とても残念でした。

 

今年こそはうまく子育てをしてもらいたいので、巣を補強することにしました。端材を使って簡単なテーブルをつけます。

 

イメージはこんな感じ。

 

出来上がりはこれ。

 

こんな簡単な工作がなかなかうまくいかず、えらくごついものができてしまいました。松の材木は切るのは楽だけど、釘を打ったら割れたりして、なかなか手間がかかりました。

 

脚立に上って巣の下に設置します。

 

こんな感じ。木ネジが一本プラスの穴が無くなってしまった。不恰好ですねこりゃ。

 

実のところ、木ネジは効いてなくて、最後はボンドで接着しました。持ってくれると思うんだけど。

 

とりあえず、雨が降る前に作業が終わってよかった。

 

今年こそはツバメの子育てをすぐ近くで眺めたいものです。

 

 


備前焼の窯焚きの様子

 

前焼で新進気鋭の若手陶芸家として活躍中の石田和也さんが、昨年よりたびたび弊社鉱山を訪れています。新しい作品作りに、弊社で採掘している陶石や蝋石を使っていただいてます。また、陶石を精製して作ったセリサイト粉末などもご利用いただいてます。

参考サイト:石田和也

 

セリサイトの粉末を表面にあしらった作品の例

 

さらには坑内で陶石を採取したり、弊社原料を使った硬質磁器向けの粘土を使ってみるなど、いろいろと試していただいてます。備前焼の新たな表現に果敢に挑戦されている作家さんなんですよ。

私のほうも、石田さんのアトリエ兼ギャラリーを訪問し、いろいろな作品を見せていただいたり、実際の作陶の様子を見学させていただいています。

 

石田さんのギャラリー

 

 

作陶の様子を見せていただきました

 

先月末には、備前焼の窯焚きを見学させていただきました。
こちらは「穴窯」というタイプの窯だそうです。ちなみに、こうした窯に使われる耐火煉瓦も三石地区で生産しています。

(残念ながら、現在市販の耐火煉瓦には弊社原料はあまり使われていません)

 

穴窯と呼ばれるタイプ

 

窯の中の様子、温度は1200℃近くまで上がる

 

窯は2日間ほど焚き続けてから中を取り出すとのこと。出来上がったばかりの焼き物がものすごい熱いなので、もみ殻に入れて熱を冷まします。それでも熱いので、しばらくは触れません。

 

こちらは、弊社坑内で石田さんが先日採取した粘土で作った試作品です。
面白い風合いになりますね。この状態では煤やゴミが付いているので、しっかりと洗うそうです。

 

備前焼と土橋鉱山のコラボ、ぜひとも実現させて、新たな備前焼の表現がどんどん広がることを楽しみにしています。
もちろん備前焼に限らず、さまざまな焼き物に原料を提供していきたいと思っていますので、陶芸家や陶芸を趣味とされている皆さん、ぜひともお気軽にお問い合わせください。