有田・波佐見のお話の続きです。
前回の【その1】をご覧ください。

 

有田焼や波佐見焼といった陶磁器の原料となるのは、熊本県の天草諸島で採掘される天草陶石です。天草陶石は、陶磁器業界では最も著名なブランドで、有田や波佐見ではもちろん主力原料として使われてますし、京都の京焼・清水焼や東海地方の瀬戸・東濃地区でも広く利用されています。

 

その強力なブランドに対して、弊社の土橋陶石はどちらかといえば、知る人ぞ知るブランドで、一定の評価はいただいているのですが、あまり広く知られていません。そのため、肥前地区には今まで全く出荷したことがありませんでした。

 

できれば、肥前でも弊社の原料を使っていただきたい、と前から思っていたのですが、この度、波佐見町にある長崎県の窯業技術センター様にて、弊社の原料を精製したセリサイト(土橋セリサイト)を、肥前の焼き物に使えないかお試しいただく機会をいただきました。

 

波佐見町にある長崎県窯業技術センター

 

陶石は「水簸(すいひ)」という技術を使って精製します。
この時、肥前地区では、独特の製法として「スタンパーミル」という粉砕機を使って、時間をかけてゆっくりと粉砕します。粉砕というよりも、ウロコ状の形をした薄いセリサイトが何重にも重なっている粒子を、少しずつはがしていく要領で、超微粒のセリサイトに分割していく、といった粉砕方法です。

 

肥前独特の粉砕機「スタンパーミル」

 

今回、弊社の原料もスタンパーミルで粉砕し、微粉となった「土橋セリサイト」として各種試験を行っていただいてます。「土橋セリサイト」を、天草陶石やその他の原料と配合して陶磁器原料を作るのが今回の試験における1つの目的です。

 

現在、様々な試験が進行中ですが、今のところ、土橋セリサイトは肥前の陶磁器にも適しているとのことです。

 

また、陶磁器原料以外の使い方についても模索しています。スタンパーミルで長時間粉砕した土橋セリサイトは、微粒のサイズがナノクラスにまで小さくなるようです。

 

ナノというのは、小ささのサイズを表す言葉で、メートルでいえば、1ナノメートル(nm)は1メートルの10億分の1を表します。このレベルまで超微粒にすると、物質によっては大きな粒子の際とは違った独特の特性を示すことがあり、さまざまな研究開発が行われています。こうした超微小の世界における技術全般について、一般的にナノテクノロジーと呼ばれています。

 

ナノテクノロジーの新素材として、土橋セリサイトが使われることが今後あるかもしれません。ちょっと夢が広がりますね。

 

有田・波佐見のある肥前地区は、近くに嬉野温泉や佐世保の軍港のほか、古くからのキリスト教会が点在していたり、お魚がおいしかったりと、観光には最適です。できれば、肥前に定期的な出荷先ができて毎年営業で訪問したいと思っています。大変期待しています!

 

連休の時期だと、波佐見では陶器まつりがありますよ!

写真は佐賀県有田町の陶山神社にある有田焼でできた鳥居。背後は有田の街です。本日は、歴史ある陶磁器の里、有田・波佐見についてです。

 

弊社で採掘している原料は、主に陶磁器や食器、便器などの衛生陶器にご利用いただいてます。陶磁器の生地に必要となる可塑性や、窯で焼いた際の色の白さなどに定評があり、すでに50年近くご利用いただいてます。

 

さて、日本で一番大きな陶磁器の産地といえば、愛知県から岐阜県にかけての瀬戸・東濃地域です。弊社の原料は、主に瀬戸・東濃地域の陶磁器原料を扱う商社さんや粘土屋さんに出荷しています。

 

粘土屋さんの工場では、地元のとれる木節(きぶし)粘土や蛙目(がえろめ)粘土などと共に、弊社のセリサイトを含んだ陶石をブレンドして粉砕・加工することで、洋食器やお茶碗などの原料「坏土(はいど)」を作っています。

 

一方、日本における陶磁器発祥の地といえば、九州の西に位置する、有田、波佐見、三川内、伊万里など、いわゆる肥前と呼ばれる地域です。

 

佐賀県の有田町はここです。

 

長崎県の波佐見町は有田町のすぐ南側です。

佐賀県の伊万里市、長崎県佐世保市の三川内もみんなこの辺りです。

 

豊臣秀吉によって朝鮮半島から連れてこられた陶工たちが、有田の地で陶磁器づくりに最適な石(陶石)を発見し、陶磁器を焼く窯を築いたのが、肥前における陶磁器づくりの始まりです。以後400年に渡り、陶磁器の一大産地として世界にも名が知られる存在となっています。

 

肥前の焼き物において中心となるのが佐賀県の有田町で、多くの陶窯や陶磁器会社が操業しています。レトロな街並みも相まって、肥前観光における中心的な役割を果たしています。

 

有田の街の様子。レトロな雰囲気が漂います。

 

有田焼の窯元、深川製磁の建物。アールデコな建物が時代を感じさせます。

 

高級陶磁器で有名な香蘭社の本社とショールームもあります。

 

有田町の南側にあって峠をひとつ越えたら、長崎県の波佐見町です。波佐見も数多くの陶磁器会社があり、全国のデパートにも卸している著名ブランドがあります。棚田や温泉もあって、こちらも多くの観光客が訪れます。

 

波佐見町の中尾郷。たくさんの窯元がひしめき合ってます。写真中央に、昔の巨大な登り窯の跡が見えてます。

 

窯元や著名な陶磁器会社がたくさんある肥前地域ですが、弊社の原料は、実はまったくご利用いただいてません。肥前のほうでは、弊社の存在はほとんど知られていないんですよ。というのも、そのそも肥前は同じ九州の熊本県・天草地方から陶磁器原料を入れているからです。

 

そんなわけで、次回は有田・波佐見の陶磁器原料についてと、今、肥前において弊社が取り組んでいる案件について書いていきます。

立坑ケージのお話の続きです。


立坑ケージそのものの説明は、【その1】をご覧ください。
立坑ケージの仕組みと動作については、【その2】をご覧ください。

 

今回は、弊社の立坑ケージで発生した故障について書いていきます。

昨年11月に、立坑に設置してある排水管に穴が空いて、地下からくみ上げている坑排水が漏れ始めました。坑排水は坑道を掘る際に出てくる湧き水ですが、pHが3〜4程度の強酸性のため、そのまま流すと公害になります。そこで、ポンプを使って地上にくみ上げて、中和処理を行ったのちに河川に放出しています。

 

そんな強酸性の水ですから、一旦吹き出すと、まわりにある鉄製品を一気に劣化させてしまいます。今回はたまたま運が悪く、立坑ケージの重りを吊ってあるワイヤーに坑排水が集中的にかかってしまい、ワイヤーの劣化、弱体化が一気に進んでしまったようです。

 

さて地上では、そうとは知らず、排水管の修理を行うために、作業員が立坑ケージに機材を積んで、穴の空いた排水管の位置まで下ろそうとしていました。そこで、数年ぶりに立坑ケージの試運転を行ったところ、ワイヤーが切れて、重りが地下まで落ちてしまい、ケージを動かすことができなくなってしまったのです。

イメージとしては、こんな感じです。

 

 

立坑の真下のある地下坑道には、落っこちてしまった重りと、落下したワイヤーが散乱している状態です。このワイヤー、大変重いんですよ。

 

重りを吊っていたワイヤーが切れて、地下坑道に落下した状態

 

立坑ケージが壊れてしまい途方にくれたものの、排水管の修理はしなければならないので、道具や機材は隣にある非常階段を使って、えっちらほっちらと人力で運び入れて、なんとか修理は完了しました。

 

しかし、立坑ケージの修理はさすがに自分たちではできません。
ワイヤーの交換には、専門の職人さんの技が必要です。
まずは、今から40年以上前に、弊社に立坑ケージを設置してくれた大手工営会社に連絡することにしました。といっても、その会社はすでになく、同じグループ会社にある別会社に鉱山プラント事業を移管していたので、そちらに連絡を取ってみました。

 

40年も前のことだし、さすがにやってくれないかも…と不安に思っていました。
実際、数日後に来たプラント会社の方は、「立坑ケージの修理ができる職人がもういないんだよねぇ」とおっしゃっていて、ちょっともう無理な感じが漂い始めました。

 

その後も、何度かやり取りや現地調査をやっていただき、とりあえず、現況調査と工事のお見積りを作成していただきました。とにかく、古い設備なので調べながら、ちょっとずつ進めていただけるとのことです。

 

まずは何よりも、こんな古い設備の修理に取り組んでいただけることに大変感謝です。
弊社の実情からいうと、鉱石や人員の運搬にはトラックを使っているため、立坑ケージはすでに過去の設備といえます。しかし、なくなってしまうと、坑道のメンテナンスに支障が出る可能性があると判断し、なんとか時間をかけて修理していくつもりです。

 

それに立坑というのは、やはり鉱山のシンボルですから、とても小さな立坑ですが、維持する体力がある限り、なんとか稼動する状態で残していきたいと思っています。こんな小型の立坑で、今でも現役で残っているなんて、日本ではおそらく弊社のみでしょう。

 

せっかく21世紀まで生き残った立坑ですから、せめて自分が鉱山にいる間は残してやりたいところです。

 

立坑ケージのお話の続きです。 →【その1】からご覧ください。

 

こちらが立坑ケージの模式図です。

弊社にある立坑施設をもとに作成しました。

立坑施設は、垂直なトンネルの立坑、ケージを吊る立坑櫓、ケージの上げ下げを行う巻室(まきしつ)の3つで一式です。
立坑櫓の形やケージのサイズなどに違うはあるものの、全国各地にあった鉱山の立坑施設も、設備の仕組みや動作原理はだいたい同じです。

 

次に内部構造の模式図をご覧ください。

巻室に設置された巻上機には、ケージと重り、2つの物体がワイヤーで繋がっています。また、立坑櫓の上には2つの大きなプーリーによって、ケージと重りは吊り下げられています。巻上機に設置されたモーターで巻き上げたり、巻き戻したりすることで、ケージをあげたり、重りを下げたりしています。

 

例えば、ケージに人員や資材を積んで地下坑道に下りる場合、ケージへの積み込みが完了したら、巻上げ機で重りを釣り上げると同時に、ケージを地下坑道へ下ろします。

 

逆に、地下坑道から人員や鉱石を積んで地上に上がる場合は、巻上げ機でケージを引っ張り上げると同時に、重りを地下に向かって下ろします。

これら一連の運転操作をするのが、巻上室の運転席です。
弊社の巻室にある運転席はこんな感じです。

 

こちらが立坑櫓の上にあるプーリーです。

 

こちらが地上の積み込み口です。

鉱車(鉱石を積む貨車)用のレールが敷かれています。

 

こちらがケージが上下する垂直坑道です。地下113mの深さがあります。

 

そして、ケージが下がってきた地下坑道の積み込み口です。

ケージが地上に上がっている場合は、地下に重りが下りています。
こちらが重りの様子です。


以上が、立坑ケージの動作原理と各施設の様子でした。

さて、問題はここからです。
40年近くの間、故障もなく使い続けた立坑ケージ、おそらく日本で唯一の現役立坑ケージだと思うのですが、残念ながら昨年11月に故障してしまい、現在修理待ちの状態なんです。
一刻も早く修理したいのですが、そもそも修理ができる職人さんがいないそうなんです。
次回はそのあたりについて書く予定です。

弊社は、鉱山としての歴史は約70年と比較的浅いほうですが、皆さんが想像するような鉱山らしい鉱山施設がかなり残っています。しかもそれらの多くが現役です。

私は趣味で、日本中の鉱山や鉱山博物館を巡っていますが、弊社で今でも普通に使っている道具や設備が、すでに博物館の展示物となっていたりするので、何だか不思議な気持ちになります。

 

さて、そんな鉱山施設の中でも、いかにも鉱山らしい代表的な施設として、立坑ケージがあります。「立坑」は「たてこう」と読みます。鉱山によっては「竪坑」と書いている場合もありますね。要は縦方向、垂直方向に掘られたトンネルで、ケージと呼ばれる一種のエレベーターで鉱石や人員の運搬を行う施設です。

 

立坑はこの他にも、地下の坑内で利用する削岩用の水や圧縮空気の配管や高圧電線、非常用の避難通路(つまり非常階段)なども兼ねています。

 

立坑の上部には、ケージを吊るための立坑櫓(たてこうやぐら)がそびえ立ちます。鉱山の真ん中に立ち尽くす巨大な立坑櫓は、まさに鉱山の象徴です。福岡県志免町に残る志免炭鉱や、北海道三笠市の奔別炭鉱の立坑櫓は、その独特の景観が有名で、国や地域の産業遺産として大切に保存されています。

 

旧志免鉱業所・竪坑櫓(福岡県志免町)

 

旧住友奔別炭鉱立坑櫓(北海道三笠市)

 

さて弊社の立坑櫓ですが、とても小さくていかにも零細鉱山らしいものですが、設備や仕組みはまさに立坑そのものの本格派です。私が聞いたところによると、福島県の常磐炭鉱が閉山した際に、先々代の社長が設備一式を買い付けてきたようで、鉱山施設の施工を手がける大手工営会社に設置してもらいました。昭和52年ごろのようで、意外と新しいです。

 

弊社の立坑櫓と巻室

 

弊社の立坑ケージは、一見古くさく見えますが、現在も使用中です。といいたいところですが、実は問題が…。
そんなわけで、これから数回に分けて、弊社の立坑について書いていきます。

 

次回は、立坑の仕組みなどもご紹介します。

 

昨年夏に注文した新しいホイールローダーが、ようやく入荷しました。
今回導入したのは日立建機さんの「ZW140-6」です。オレンジ色のコーポレートカラーが独特です。昨年秋にモデルチェンジされた最新モデルですが、その新車のキャビンをバッサリ切り捨てて、屋根を低くしています。地下坑道で使うので、背の高いキャビンは不要なためです。

 

 

 

 

その他にも、外装については地下坑道での仕様を考慮した改造が施されています。とはいえ、足回りやバケットなどは純正のままです。

 

 

新しい重機が入った際は、こうやってお酒をかけて清める儀式をやります。なぜかは知りませんが、他社さんの重機を入れた際もやりました。日本酒独特の香りが漂います。僕は大好物ですが、うちはみんな下戸ばかりで苦手みたいです。

 

 

地上でしばらく導入の準備を行ってから、坑内に入れて実際の作業に投入する予定です。新車ピカピカの姿が見られるのは今日限り、あっという間に陶石や粘土でドロドロの車体になります。20年は働いてもらうつもりです。大事に使おう!

弊社は鉱山の開発と陶石・蝋石の採掘を中心とした会社ですから、従業員のほとんどが坑内もしくは坑外の作業員で、全員が正社員です。

 

一方で、事務所で受発注や品質試験、経理や総務を担当する、いわゆる事務員(正社員)は1名のみで、あとは社長(私)と総務担当の役員の2名がいるのみ。そのため、社長も事務作業や試験業務を行います。また総務担当役員のほうも、品質試験の一部や経理作業を行っています。

 

その総務担当役員も今年で69歳、そろそろ引退を考える時期になりました。いうまでもなく弊社でもっとも勤続年数の長く、長年にわたって弊社の品質試験や経理業務を担当してきました。元気に勤めているうちに、長年培ったノウハウを後続の者たちに伝えていってもらいたいと思います。

 

そこで、新たに事務員(正社員)を募集いたします。


担当業務は、一般事務と品質管理の2つです。小さな会社なので、どうしても1人がやる仕事の範囲が広くなってしまいますが、そんなに忙しい会社ではないので、ゆっくりと身につけてもらえば大丈夫です。品質管理は未経験者でも問題ありません。私自身、そもそも文系ですが、今はちょっとした試験器具を使いこなし、毎日のように品質試験をやってます。

 

ハローワークに掲載した求人票はこちらをご覧下さい。

 

少し補足しますと、弊社の「皆勤手当」は、1ヶ月のうちに、欠勤・遅刻がなかったら、毎月の給与に加算される手当です。もちろん、有給休暇を取っても適用されます。そのため、弊社の社員のほぼ全員に毎月支給となります。たまに遅刻をして、もらい損ねる人がいますが…。

 

また品質管理に関する試験業務は、一般的にまず経験者はいませんので、弊社に入ってから覚えてもらうことになります。特に知識や技術は必要ありませんが、よい試験結果を出すために、粘り強さというか根気がいります。主に材質にかかわる試験で、粘土状になった試料を適切な粘性までもっていく作業に半日から1日かかるため、じっくり取り組むことになります。

 

今回の求人募集に関する応募やご質問については、問い合わせフォームからご連絡ください。もちろん、直接お電話いただいても結構です。弊社に近い方でしたら、直接お越しにいただいてもかまいません。お気軽にお問い合わせください。

土橋珪石の特性がわかるデータとして、気孔率、吸水率、比重をご紹介します。データは、弊社の珪石をすでにご利用のユーザー様よりいただきました。

 

サンプル№

見かけ気孔率

(%)

吸水率

(%)

見かけ比重

(g/cm3)

嵩比重

(g/cm3)

土橋珪石1級

1

11.96

5.36

2.54

2.23

2

11.15

4.94

2.54

2.26

3

8.13

3.49

2.54

2.33

平均

10.41

4.60

2.54

2.27

 

参考として、中国産珪石、徳島珪石のデータも掲載します。

 

サンプル№

見かけ気孔率

(%)

吸水率

(%)

見かけ比重

(g/cm3)

嵩比重

(g/cm3)

中国産

珪石

1

1.21

0.47

2.61

2.58

2

1.14

0.44

2.60

2.57

3

0.93

0.36

2.58

2.58

平均

1.09

0.42

2.60

2.58

 

サンプル№

見かけ気孔率

(%)

吸水率

(%)

見かけ比重

(g/cm3)

嵩比重

(g/cm3)

徳島珪石

1

0.63

0.24

2.60

2.60

2

0.64

0.25

2.57

2.57

3

11.32

4.81

2.35

2.35

平均

4.20

1.77

2.51

2.51

 

土橋珪石、中国産珪石、徳島珪石の3つを比べた場合、見かけ気孔率、吸水率の点で、土橋珪石は顕著な特徴が見られます。土橋珪石は気孔が多いことから、粉砕効率も高いという特徴があります。こうした特徴を活かして、用途を広げていけたらと思っています。

本年もよろしくお願い申し上げます。
写真は、弊社の山神社です。営業初日は坑員全員でお参りします。

祀ってあるのは、伊予・大三島の大山祇神社におられる

「大山積神(おおやまつみのかみ)」です。

1月4日に、大三島にお参りして、新しいお札を頂いてきました。

 

弊社は、1月5日より営業開始です。今月は1月6日(土)も営業日ですが、

7日(日)8日(月)が公休日で、9日(火)が地元の「山の日」のため、

またまたお休み。つまり、明日から再び三連休です。

 

山の日というのは、この地域独特の祝日で、蝋石鉱山のみがお休みです。

昔聞いた話では、この日にどこかで事故があって、以来、お休みにしたとか。

本当かどうかわかりません。

 

ともあれ、すでに鉱山自体が少なくなっているので、

お休みをとる会社も少ないのですが、弊社は今も伝統的にお休みです。

ちなみに、私は当日は出張でお休みではありません。ちょっと残念!

弊社鉱山は、陶石・蝋石の採掘がメインの鉱山ですが、鉱床の成り立ちから大量の珪石も採掘できます。

 

珪石自体は、日本じゅうどこでも採掘できる、ごくありふれた鉱物で、いわば単なる石(SiO2)にすぎませんが、珪石の性質や見た目、特徴は産地によって千差万別、実にさまざまです。そのため、工業製品として用途も産地によって様々な使われ方をしています。工業用途で採掘される珪石の多くは、セメントやコンクリートの骨材として使われていますが、その他にも、建材ボード、農薬の基剤、不定形耐火物などがあります。

 

そのような中で、弊社の珪石は、主に農薬の基剤と耐火物パウダー(CCパウダー、連続鋳造パウダー)として使われています。色が白く、珪石としては大変粉砕がしやすいこと、SiO2が97〜99%とかなり純度が高いこと、またミクロのレベルで見ると、表面に細かい穴が空いている、いわゆるポーラス状になっているのが大きな特徴です。

 

ということで、走査型電子顕微鏡(SEM)で見てみた土橋珪石の画像をお見せいたします。


 

ご覧の通り、やたらと隙間が多く、水分や油分を吸収する力があると考えられます。

実際、採掘したあとに地下坑道に長期間貯鉱していると、坑内の湿気を吸ってしまって、大型のクラッシャーで採掘しづらくなることがあります。そんな場合は、数日間、地上で晒してやると、あっという間にカラカラに乾燥します。カラカラになれば、粉砕は容易です。

 

このちょっとユニークな性質が、何かの製品にお役に立てばと思っています。