鉱山ブログ

精製セリサイトの試作品を作る(その1)杯土に添加するメリット
2019年5月19日 | カテゴリー: お知らせ

写真の左が原料となる陶石、右が精製セリサイトの完成品イメージ。

水分を20~30%含む粘土です。

 

弊社の陶石は、陶磁器の原料として利用されていますが、その際に「水簸(すいひ)」という工程を行い、その他の陶磁器原料に添加するための「精製セリサイト」となります。

 

陶磁器やボーンチャイナ、英語でいうところの「Porcelain(ポーセリン)」を作る際は、カオリンと呼ばれる陶石、動物の骨を焼いた骨灰(リン酸カルシウム)、その他、珪石や長石、蛙目(がえろめ)粘土などを用途に応じた比率で配合して、ボディとなる粘土(杯土と呼びます)を作ります。

 

ここに「精製セリサイト」を添加することで、杯土の可塑性を上げることができます。可塑性というのは、例えば杯土をこねてお椀の作った際に、可塑性のない杯土だと、へたっとへたり込んで、お椀の形を保つことができませんが、可塑性があればお椀の形をずっと保つことができることをいいます。つまり、ある一定の力を加えると変形するが、変形した後、力を加えなければ、ずっとその変形した状態を保ち続けることです。

 

「精製セリサイト」を加えるメリットは、他にもあります。セリサイトはカリウム(K2O)やアルミナ(Al2O3)といった物質が比較的多く含まれていながらも、焼成した際の収縮が小さいという特徴があります。そのため、磁器などを窯で焼いた際、どの程度まで小さくなるかメドが立てやすいといえます。

 

もう1つのメリットは、鉄分が大変少ないことです。蛙目粘土などは鉄分(Fe2O3)を多く含むことから、窯で焼いた後の色合いにも大きく影響します。一方、精製セリサイトの鉄分は、Fe2O3換算で0.2%前後と大変少ないです。素地の状態でより白いものを作りたい場合、精製セリサイトは好都合といえます。

 

そんな精製セリサイトを、弊社でも独自に生産してみようと考えています。すでに、弊社の原料を使って精製セリサイトを作っている原料メーカー様もおられるので、今回はそうした原料メーカー様がやってない製造法を用いて、小ロットで生産し、陶芸作家様向けに提供したいと思っております。

 

ちょっと長くなりそうなので、続きは次回に書きますね。

5月末より製造を開始しますので、ご興味のある方はお問い合わせください。