モヤのかかる斜坑道

もともと8月は出荷の少ない時期ですが、今年はコロナの影響もあって、大幅に出荷が減っています。
なかなか厳しい日々ではありますが、暑さも厳しいです。でも、私たちの仕事場である地下坑道は、一年を通して温度がだいたい16〜18度程度。とても過ごしやすい職場ですよ。真っ暗ですけどね。

 


坑内最下部のL5坑道。地下156m。瀬戸内海よりも20〜30m下になります。


こちらの気温は18度。湿度は80%です。快適そのもの。


1つ上の階層となるL4坑道は地下133m。ここがだいたい標高0mです。気温17度。湿度は測定不能です。100%近いと思われます。涼しいけどジメジメ。


L4坑道にある変電施設。気温17度、湿度が80%強。


奥の坑道に行くとモヤが激しくなります。

巨大ファンを使って地上から取り入れた空気はこの時期、湿気が多いためモヤになります。



事務所に戻ってきました。裏にある日陰の温度計は35度。うだるような暑さです。
坑内と地上の温度差が激しすぎて、体から一気に汗が吹き出ます。
いっそ坑内に事務所を設けたいくらいです。

とりとめもない話で恐縮です。

コロナが早くおさまって、また活気が戻ってくることを願うばかりです。

梅酒の仕込み風景です。

 

新型コロナウィルスの影響で、陶石をはじめとする弊社原料の出荷も落ち込む傾向があります。

これが一時的な影響で済むのか、今後もだらだらと続いてしまうのが、なかなか見極めが難しいところです。ヤマを掘るのが専門で、陶石、蝋石、珪石のほかに、これといって商品のラインナップを持たない弊社としては、今後どのように生き残っていくか、常に考えているところです。

 

そんなふうに、常々考えていたところ、スーパーに立ち寄ったら、青梅と氷砂糖が店頭の目立つところに陳列されていました。「そうか、梅酒を漬ける季節じゃないか」と思い、そこで、はたと思いつきました。「地下坑内で梅酒を漬けたら、うまいんじゃないだろうか」と。「これ商売にならないかな」さらに思いました「どうせ漬けるなら、日本酒がいいな」と。これは僕の好みですね。商売からそれました。

 

さっそく、ネットで日本酒で梅酒を作る方法をチェック。梅酒を作るには、アルコール度数が20度以上のお酒でないといけないようです。ふつう日本酒のアルコール度数は14〜17度くらいでしょうか。20度の日本酒なんて飲んだことありません。でも、ちゃんとあるんですね、梅酒用の日本酒。新潟県にある酒造さんからネット通販で取り寄せました。

 

苗場酒造さんの果実酒用日本酒「苗場山」アルコール度数が20%

 

おっと、取り急ぎお伝えしますが、今回はすべて自腹です。

私の趣味ですから。お酒も梅もビンも自前です。

 

本当は岡山県内の日本酒を使いたかったのですが、ネットで見つかりませんでした。

新潟はまさに酒どころですが、岡山の日本酒もとても美味しいですよ。岡山は意外と酒造が多いんです。日本酒用の水として有名な雄町の泉は岡山市の郊外にあります。

 

2本買ったのは、自宅にて常温で作る用と地下坑道で作る用の2本を用意するためです。

さくさく準備を進めます。分量は適当です。1kgの青梅と同じく1kgの氷砂糖を、だいたい等分にそれぞれのビンに入れました。

 

どちらもちょうどいい感じです。左の長いほうを自宅で保管します。右の丸っこいビンを地下坑道に持っていきます。

ちなみに奥の2本は、昨年と一昨年に焼酎で漬けたやつです。いま少しずつ飲んで楽しんでます。

 

翌日、さっそく地下坑道に持ってきました。

なるべく温度変化が少なくて、ホコリが少ないほうがよいので、レール跡が残る旧坑道に置くことにしました。ここなら従業員にも気づかれまい。このブログも読んでないだろうし。

 

 

ここは、時々マニアックなお客さんをご案内する旧坑道で、普段は電気を切って暗くしてあります。

 

公私混同みたいですが、「これってひょっとして新事業にならないかな」と思い、あえてやってみました。法律的にいえば、出来上がった梅酒を売ることはできないので、弊社が売るというよりも、どこかの酒造屋さんとタイアップしたり、一般家庭の方で「地下坑道で梅酒とか何か漬けてみたい」といったご要望にお応えして場所貸し業ができたらいいな、と新事業を夢想しております。

 

ともあれ、実際に地下坑道で漬けた梅酒がうまくなければ意味がありません。

来年の今ごろ、どんな味になったかご報告したいと思います。

 

(追伸)

先月ブログでご紹介したツバメの巣は、残念ながら今年も崩落してしまいました。やはり、蝋石でできた巣は弱いようです。ただ巣の中に卵はなかったので、そこは少しホッとしました。

これで2年連続でツバメが失敗する様を目の当たりにしました。このまま放置するわけにはいかないので、今年のうちに対策を行い、来年春は必ずやここでツバメがうまく子育てできるようにしたいと思います。

今年も南からツバメが巣を作りに来ました。今年は成功するか?

 

この春は、新型コロナウイルスの影響で、明るい話題が乏しい毎日です。

いつもなら、毎週のようにお客様が来たり、私もあちこちに出張して、営業したり、仕事関係の方とお会いしたりと楽しく過ごしているはずだったのですが、今はそうもいきません。

今はただ、坑内で黙々と切羽に向かって採掘作業に取り組んでいます。

 

そんな中、唯一楽しみなのが、弊社の事務所に巣作りをしているツバメです。
今年も南の国からやってきたカップルが、せっせと巣作りに励んでいます。

実は、4月初旬に1回目のカップルが来て、途中まで作ったのですが、数日で落ちてしまい、今は2回目です。
困ったことに、うちにくるツバメは、うちの採掘した鉱石を使って作るため、どうにも長持ちしません。事務所の横に敷地の雨水を貯める池があり、そこの泥を使って作っていますが、どうにも砂っぽいものが多いためか、日照りが続くと、巣がぱかっと割れて落ちてしまうのです。

 

4月中旬にぱかっと割れた巣の残骸を発見し「ああ、今年もダメだったか」と諦めていたのですが、なんと、また戻ってきて巣作りを再開しています。以下、本日の様子です。

 

巣の作りが前回よりもやや強固になった感じがします。下から写真を取っていると、外回りのほうが戻ってきました。

 

あっち行け!と怒ってます。ちょっと見せてくれてもいいじゃないか。

 

近づくと逃げてしまうのでズームです。画像が荒くなってしまう。

 

今年こそはうまく子育てができるといいな、と思って、毎日ハラハラしながら見ています。あまり見ていると嫌がるので、できるだけ関心がないふうを装って、横目でちらちら見る感じです。

 

早く世の中が落ち着いて欲しいところです。

写真は、弊社構内の坑排水処理場にある桜の木です。
弊社の敷地で真っ先に花が咲く桜です。7分咲きといったところです。

新型コロナウイルスの影響で、今月は鉱山見学がキャンセルになったり、こちらからお断りしている状態です。東海地方の陶磁器会社さんや九州の化粧品メーカーさんが来社・見学予定だったのですが、延期になってしまいました。お会いするのを楽しみにしていたのですが残念です。

 


見学者を案内するバンに1ヶ月乗らなかったため、バンのバッテリーが上がってました。不具合を直して、バンに乗って、弊社敷地内の桜並木がある山に登ってきました。
桜の咲き具合は、ご覧の通り、まだ3分咲きといったところです。鮮やかな紫色のツツジは満開です。遠くに見える禿げた山は、大平さんの露天採掘場です。

バンは埃まみれだったので洗車しました。こちらも3分咲きですね。

世間が慌ただしくなっていて、ちょっと花見の気分ではありませんが、感染に気をつけて業務を継続できるように注意したいと思います。

 

 

明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願い申し上げます。

 

昨年末は日程の関係で忘年会ができず、かといって新年会をやるにしても日程の調整が難しいため、思い切って、土曜の出勤日に午後からバーベキューをやることにしました。この時期ですから、食べるのはもちろん岡山県産の牡蠣、そしてお肉です。

 

岡山・虫明産、今が旬の牡蠣。地元では一斗缶に入ったカキ缶を買って楽しみます。

 

今回のイベントは、新年会と7月に入った新人君の歓迎会も兼ねています。

とはいえ、新人君が一番汗かいて肉を焼いていたような気がします。

僕はただただ牡蠣が食べたかったので、みんながテキパキ動く姿を見ているだけでした。

 

ドラム缶をぶったぎった即席のコンロに炭を置いて火を起こし、そこへ豪快に牡蠣を並べていきます。

 

さんざん食べたのですが、半分くらいしか減ってません。まだまだ残っています。今回10人で食べ始めたのですが、全然食べきれません。あんまり食べると当たるかもしれないと、どか食いするのも怖いし、なかなか難しい食材です。

 

牡蠣と肉をひとしきり食べ終えた後は、デザートのイチゴです。

でももう食べきれず、少し残ってしまいました。

 

この冬はあまり寒くなくて、この日も日差しがあって気持ちよく風もなかったので、絶好のバーベキュー日和でした。

お正月初めは、この地区は1月9日が「山の日」という特別な日でお休みだったり、なんだかお正月気分が抜け切らない1週間でしたが、来週からは気持ちを入れ替えて、また仕事に励んでいきたいと思います。

鉱山のシンボルともいえる「立坑ケージ」。弊社で稼働中の立坑ケージは、おそらく日本の鉱山で最後に残った現役の立坑ケージと考えらます。昨年は切れてしまったワイヤーの交換という大修理を行い、再び稼働する状態に復帰しました。
その経緯については、これまで何度か当ブログにて紹介しました。


おそらく日本最後の現役「立坑ケージ」復活なるか?【その1】 2018年3月17日

おそらく日本最後の現役「立坑ケージ」復活なるか?【その2】 2018年3月30日

おそらく日本最後の現役「立坑ケージ」復活なるか?【その3】 2018年4月23日

おそらく日本最後の現役「立坑ケージ」復活なるか?【最終回】復活しました! 2018年12月19日

また復活後には、山陽新聞にもご紹介いただきました。


ただし、ここまではあくまで「稼働できる状態」も戻しただけで、修理作業をやっていただいた業者さんからは、地下と地上を上下するカゴの部分にあたるケージがボロボロで交換した方がよいとアドバイスがありました。

40年以上何もしてなかったので、確かにボロボロです。また、ケージを安定して上下させるために立坑内に設置されたガイドレールもがたつきがあって、どこかの段階で修理をしたほうがよいとのことでした。

とりあえず、今年はケージを交換することにしました。台風や大雨が落ち着く10月の半ばから作業を進めていただきました。以下、作業中の写真です。作業は数日に分けて行なわれました。

じっくり作業を見学したかったのですが、あいにくじっと見ることができず、職人さんたちがテキパキ作業をしているうちに、古いケージが抜き出されて、新品のケージに入れ替わっていました。


立坑から抜き出されたケージ


古いケージから必要な部品を切り出す



次に見に行ったら、もう新しいケージが設置されていた


現在の中身の様子

 

来年はガイドレールの修理を行って、これでとりあえずひと段落といったところです。
鉱山見学でお越しの際は、ぜひとも弊社の立坑櫓をご覧いただきたく存じます。

立坑ケージのお話の続き、ついに完結編です。
なんと修理が完了しました!

 

立坑ケージそのものの説明は、【その1】をご覧ください。
立坑ケージの仕組みと動作については、【その2】をご覧ください。
立坑ケージで発生した故障については、【その3】をご覧ください。


修理は今年の6月と11月、おおむね2回に分けて進められました。
作業としては、試運転中に切れてしまったワイヤー、その先に吊るされていた重りを地下113mから回収して修理。また、切れたワイヤーの交換と、これと合せて、ケージ(カゴ)側のワイヤーも交換。といった流れで行われました。

 

こちらが立坑の外観図です。
昨年11月に重り側のワイヤーが切れてしまい、重りが地下に落下してしまいました。

 

こちらが内部構造を示す図です。

今回は重りの回収と、重りとケージのワイヤー両方を交換します。

 

地下の立坑乗り場に落下した重り。

 

今年6月、重りの回収と重り側のワイヤー抜き取りが行われました。

 

ワイヤーを抜き取る様子、すごく重い。

 

巻室のドラムからもワイヤーを抜くための切断作業


そして11月、今度は新品のワイヤーに付け替えるとともに、回収した重りを再びワイヤーで吊るす作業に行いました。

 

新しいワイヤーを入れている様子。

 

オーバーホールされた重り、再び地下へ。


断続的な工事を経て、1年ぶりに立坑が復活しました。
でも、まだまだ修理が必要です。ケージが老朽化しており、新たに作り直す必要があります。それに、ケージを左右で支えているレールも劣化がひとく、補修工事をしてやらないといけません。

 

かつては毎日利用して、人員の運搬にも活躍した立坑ですが、現在は年に1回使うかどうか、それに保安上、人員は乗せられないので、道具や機械の上げ下げにしか使ってない立坑なのですが、もうここまで来たら、産業遺産の保存事業です。
これから数年かけて修繕を行い、あと30年は使える状態で残したいと思います。

 

鉱山に残る現役の立坑です。
弊社にお越しの際はぜひとも見学してやってください!

ヤマモトロックマシン社の外観です。

 

鉱山では様々な重機が稼働していますが、その中でも最も重要な機械の1つが「削岩機(さくがんき)」です。削岩機は、硬い岩盤に穴を開けるために使います。弊社の場合、切羽(採掘場の先端)に対して、だいたい40〜50箇所の穴を開けます。

 

1つの穴の長さというか深さは、だいたい1.7〜1.8mくらい。この穴に火薬を詰め込み発破することで、鉱石を掘り出しています。

 

弊社坑内での削岩の様子。削岩機がヤマモトロックマシン社製。
ものすごい音がします。作業者は耳栓をして作業しています。

 

さて、そんな削岩機の老舗メーカーとして、長年の実績を持っているのが「ヤマモトロックマシン」さんです。先日、会社見学の機会をいただき、戦前から稼働している工場を拝見させていただきました。今回はその見学レポートです。

 

ヤマモトロックマシン社(元々は山本鉄工所)の創業は1915年(大正4年)、広島県庄原市の東城町という小さな町で100年以上にわたって削岩機を作っています。現在は、削岩機だけでなく、鉱山や砕石、土木で使われる削岩機や破砕機、それに製鉄所などに使われる各種機械を製造しています。

 

弊社では3台の削岩機が地下坑内で稼働中です。削岩機は「ドリルジャンボ」と呼ばれることもあり、弊社では「ジャンボ」と呼んでいます。

 

ちなみに、今回、会社を訪問した初めて知ったのですが、製鉄所でもやはり「穴を開ける」という工程がとても重要な作業の1つとなっているそうです。高炉の中で煮えたぎる銑鉄を抜き出す際(出銑)に、高炉に穴を開けて、その穴から流し出すそうです。銑鉄の温度は1800℃にも達しますが、この高炉に穴を開ける機械が「出銑口油圧開孔機」です。こちらもヤマモトロックマシン社で生産しており、全国の製鉄所で稼働しています。

 


話を戻して、工場見学です。まず見学したのは、昭和初期に建てられ現在も現役で稼働している削岩機工場です。外見がまさに絵に描いたような昔の工場!

 

なかなかモダンな佇まいですが、教会などのデザインもモチーフになっているようです。

 


内部は圧巻です。ご覧の通り、木造トラスの屋根が目を引きます。
工場内は、真ん中の通路を隔てて、右にも左にも旋盤や工具類が並んでいます。足元には、加工前の鋼材もたくさん並んでいます。戦前の工場のイメージそのままです。

 

こちらの建屋は国の登録有形文化財に指定されています。お話によると「文化財」なら外見を維持すれば中身は変えてもOKらしく、「重要文化財」になると外見も中身の古いまま維持しないといけないらしいです。

 

何だか「昭和っぽい」とか「戦前の工場」なんていってますが、工場内には先進的なNC旋盤もあちこちに見られます。なんとなく古いだけで作業工程は現代風です。訪問日はたまたま曇り空で工場内はそれほど暑くなかったですが、いつもは蒸せ返る暑さだそうです。これだけ機械があれば暑いですよね。

 

いくつか写真をご覧いただきましょう。

 


ほとんどが丸形の鋼材で、大量に保管されています。
地面には軌道の跡があります。昔はトロッコを使って部材を運んでいたそうです。

 


一度に様々な工程が一気にできてしまう旋盤です。

 


とてもきれいに整理整頓されています。
こちらに限らず、どの現場も整理が行き届いており、作業しやすい雰囲気でした。見習わないとなあ。

 

「浸炭工場」と呼ばれる建屋です。
旋盤や工具が並ぶ工場内で、ここだけは雰囲気が違います。
加工した部品の表面にカーボンコーティングを施すため、部品と炭を炉の中で高温で焼く施設です。さすがに暑いです。この工場内には神棚があって、出雲大社の神様であるスサノオが祀ってあるそうです。そういえば、この辺りは中国山地を越えたら出雲となります。

 

浸炭工場から出した部品を冷やす工程です。こちらでは焼いた部品を冷やす作業をされていました。これは熱い!

 

こちらは最新型の小型削岩機です。本日のもう1つの目的は、こちらの削岩機を見るコトでした。削岩機の肝となるのは重機の先端部分であり、車体自体は一般的なパワーショベルと同じものです。

 


新しい削岩機の切れ味を実演していただきました。切れ味は抜群です。


ちなみに、重機の改造や削岩機の備え付けを行っているのは重機工場です。レトロな工場のある場所は東城町の街のど真ん中ですが、重機工場は少し離れた工業団地にあります。

 

ひととおり、ヤマモトロックマシン社を見学させていただきました。
旋盤や金属加工について詳しければ、もっとより深い見所がわかったはず。とはいえ、何も知らない素人が見ても、ただただ感心のため息が出る見学でした。

 

広島の山深い小さな町で、世界の現場で活躍しているスゴモノが作られていることに、ちょっと不思議な感動がありました。来年あたり余裕ができれば、新しい削岩機を導入したいところです。
いやー頑張らないとなあ。

先月は、記録的な豪雨で岡山県は甚大な被害に見舞われました。弊社のある備前市では、人身に関わるような災害はなかったようですが、ブルーラインなどの道路で崖崩れが発生し、かなり長い間に渡って通行不能になるなどの被害がありました。

 

ただ、家や会社が水に浸かったり、ケガをした人などはいなかったようです。弊社の従業員も、直接の被害はありませんでした。知り合いや親戚に真備町の人がいて、休みの日は復旧の手伝いにいったものはいたようです。

 

弊社自体は、実はかなり大きな被害に遭いました。弊社が地下坑道で採掘しているゆえの、まさに弊社ならではの災害ですね。弊社坑道の最深部は、地下155mの場所にあり、瀬戸内海よりも20〜30mは下にあります。普段も湧水が多く、ポンプを常時稼働させて水抜きをしていますが、雨が降ると湧水量が膨大になります。

 

台風や大雨を何度も経験し、大量湧水発生時の対応にはだいぶ慣れていたのですが、今回の豪雨はこれまでの経験をはるかに上回る降雨量となり、結果的に、最深部の坑道のほぼ全域が水没するという大変な事態になりました。

 

雨の量は、6月(梅雨時)の1ヶ月間の3倍分、それがたった3日間で降ったものだから、坑内の湧水は激しさを増して、一番深いところで2mほど水が溜まりました。

 

幸い、雨の降り始めに、坑道内に置いてある重機・車両をすべて引き上げていたため、大きな損害にはなりませんでしたが、持ち運びができなかった道具類や、電気配線がダメになってしまいました。

 

すべての水を組み上げるのに2週間ほどかかりましたが、今月からは無事通常作業に戻ることができました。現在は普段通り採掘を進めています。ただし、7月に貯鉱石を全て使って直近の出荷に回したので、9月以降の出荷にやや影響が出そうです。なるべくお客様にご迷惑がかからないよう、復旧作業を進めております。

 

そんな最中、先週末の夕方、積乱雲が発生して通り雨が降ったのですが、その際に雷が近くに落ちたようで、弊社の試験装置が壊れてしまいました。

 

リガク製のX線回折装置、MiniFlex600です。

モニタは全損、パソコンも一部が壊れて正常な起動ができない状態。右にあるMiniFlex600はネットワーク部分が壊れたようで、パソコンに接続できません。

 

毎日使っている装置だけに打撃が大きいです。

まったく泣きっ面に蜂といった感じで、災害が続いております。

お盆明けにはどうにか使える状態に戻って欲しいところです。

弊社鉱山のシンボル、立坑を見学するツアー参加者のみなさん。

※写真は、NPO法人地球年代学ネットワーク様よりご提供いただきました。
 以下、今回の写真はすべていただいたものです。

 

6月16日に、地元のNPO団体が主催するジオ見学ツアーで、50名もの方が弊社鉱山にお越しになりました。さすがにこの人数を坑内にご案内はできないので、今回は坑口と坑外の施設、それに地質の観察ができる場所などをご案内しました。

 

今回主催したのは「NPO法人地球年代学ネットワーク」様。岡山県の備前県民局との共催で、公募で集まった一般の方を対象としたジオの魅力を学ぶ体験ツアーの一環で、弊社鉱山の見学にいらっしゃいました。

 

まずは、パネルを使って弊社の概要を説明しました。


ジオパークは、ユネスコ認定のジオパークや日本独自のジオパークなど、日本各地に点在しており、岡山県に近いところでは、鳥取・兵庫にまたがる「山陰海岸ジオパーク」が有名です。関連する自治体ではジオパークを巡る見学ツアーなどが行われて、ジオに対する関心が高まっています。

私たちの鉱山がある備前市やお隣の和気町など、この辺り一帯は、かつて巨大なカルデラだったという仮説があるそうです。正確には「コールドロン」と呼ぶそうですが、今のJR和気駅を中心とする巨大な火山があって、やがて風化して「和気コールドロン」が形成されたそうで、私たちが掘っている地下鉱床はこの「和気コールドロン」の外縁部に属するそうです。

 


ツアーの参加者に配布された資料より。
この地区は「和気コールドロン」という巨大な火山の跡にあるという説です。
備前や和気の人はおそらくほとんど知らないと思います。僕も今回初めて知りました。

ちなみに、県境をまたいだお隣の兵庫県赤穂市も「赤穂コールドロン」という大きな火山の跡とのことで、今から7000万〜8000万年前の白亜紀末期、この辺りは火山だらけだったみたいです。

 


見学ツアーは土曜にお越しでしたが、弊社は通常営業だったので、参加者の後ろで大型ダンプに原料を積み込みしています。ちょっと面白い光景です。



今回は50名もの方がお越しになったので、さすがに坑内見学にはお連れできないので、坑口付近を出入りしてもらい、坑道から吹き出す風を体感していただきました。坑内は年中17℃で、坑口から吹き出す風は涼しく感じられます。


でも、この風は人工的に起こしたもので、坑内には巨大な換気扇を使って、地上から空気を送り込み、空気の入れ替えを絶えず行っていることなどを説明しました。



立坑下の巻室周辺に残る、古い鉱車いわゆるトロッコなどもご覧いただきました。この地区に残る貴重な鉱山遺産になると思い保管しています。



三石地区のろう石鉱床は、ヤマから湧き出す水が酸性でそのまま河川に流すことはできません。したがって、中和処理する施設が必要です。参加者の方には、こうした地味な取組みに関してもご説明しましたのが、皆さん大変熱心に聞いていただき、いろいろとご質問もいただきました。

今回、見学ツアーをお受けするに当たり、50名もの人々がお越しになるとのことで、どうなることか心配でした。また、弊社のような地味で一見わかりづらい仕事をやっているところに、果たして関心をもっていただけるのか、その当たりも気になっていました。

しかし、実際にお越しいただいた皆さんは、大変関心を持って見学いただき、また短い間でしたが、みなさんとお話しができたのはとても刺激になりました。次回は、私だけでなく、従業員などにも直接話ができるような機会が設けられればと思っています。

この度のジオ見学会に参加された皆さん、弊社にお越しいただきまして誠にありがとうございました。また見学会を主催されたNPO法人地球年代学ネットワーク様、また是非ともツアーに組み込んでいただければ幸いです。今後ともよろしくお願い申し上げます。